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わんちゃんの行動学

わんちゃんの行動学 第3回

犬と遊ぶときは必ず勝たないといけないの?

イメージ写真1  「引張りっこ」などの犬との遊びでは、飼い主がおもちゃを取り上げないで犬におもちゃを渡してしまうと、「自分のほうが強い。エライ」と勘違いし、犬が人よりも上に立ってしまうため、「必ず飼い主が勝たないとならない」といわれてきました。
 しかし、本来犬と楽しむために行う「遊び」のはずなのに、遊びの際でも犬との勝ち負けを意識しなければならないのでしょうか?

犬は遊びを通して狩りを模倣して楽しんでいる

イメージ写真2  もともと狩りをしていた犬は、おもちゃを獲物に見立てて狩りを模倣する遊びが大好きです。もちろん、本当に獲物を狩っているわけではなく、小さな男の子が、ヒーローになりきって、敵とみなしたものを倒して喜ぶのと同じような感覚で遊んでいます。
 このような遊びの行動は、哺乳動物では特に子供の時によく見られますが、犬を初めとした家畜化された動物は幼い状態のまま成長する(ネオテニー:幼形成熟)ため、成犬になっても遊びの行動が頻繁にみられます。
 また社会性が高い犬は、単独よりも他の犬や飼い主と遊ぶことを好むため、飼い主とのボール遊びや引張りっこなどの遊びが大好きです。犬は遊びの中で飼い主に勝ち上位に立つことを望んでいるわけではなく、飼い主さんと一緒に楽しみたいだけなのです。

犬との遊びで生じる問題はなぜ起きるのか?

イメージ写真3  特に子犬の頃は、飼い主が一緒に遊んでいると「おもちゃではなく飼い主の手を噛んでくる」ことが問題視されますが、子犬が飼い主さんを倒そうとしているわけではなく、ただ単に飼い主さんの手でも噛んで遊んでしまっているだけです。このような問題を抱える飼い主さんは、日頃からプロレスごっこのような手を使って遊んでいることが多く見受けられます。子犬はまだ噛んで良いものと悪いものを理解していないので、人の手を使って遊ばず、ひも付きのボールなど、持つところと噛むところが区別できるおもちゃで遊ぶようにすると良いでしょう。
 また、自分の持っているおもちゃを守ろうとして、飼い主さんに対して攻撃になる問題なども良く見受けられます。このような問題は、飼い主さんを下位とみなしおもちゃを独占しているのではなく、おもちゃをとられてしまうかもしれないという不安から、おもちゃを守ろうとして攻撃を示します。遊ぶという行為も本能的な欲求であるため、他者にその欲求を満たすことを邪魔されれば必死に抵抗します。日頃から、飼い主さんが犬からおもちゃを無理やり取り上げたりするようなことをしてしまえば、犬自身が飼い主との遊びに不安を感じるようになってしまいます。おもちゃを渡してほしければご褒美と交換したり、離した際に褒めながらご褒美を与えれば、犬は安心して飼い主におもちゃを渡してくれるようになります。勝ち負けを意識して遊ぶのではなく、犬に安心感を与えながら互いが楽しめるような遊びを実践することが、互いの絆を深めるためには重要です。
スタディ・ドッグ・スクール

スタディ・ドッグ・スクール

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鹿野正顕(学術博士)

鹿   まさあき(学術博士)

スタディ・ドッグ・スクール代表 株式会社Animal Life Solutions(ALS)代表取締役社長
日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事・事業企画委員
動物介在教育療法学会(ASAET)理事 世界最大家庭犬トレーナー資格 CPDT-KA

麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導に携わっている。

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