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犬が飼い主の言うことを聞いてくれないのは、飼い主と犬の上下関係の崩れが原因と考えられてきましたが、現在では「人と犬の関係=上下関係」という考えた方自体が見直されるようになってきました。それでは、なぜ犬は飼い主の言うことを聞いてくれないのでしょうか?
人をはじめ、動物の脳はその部位によって司る機能が異なります。「道徳心」や「倫理観」、「義務感」また、「本能的欲求」や「情動」をコントロールする機能は、前頭葉が司っていますが、犬はあまりこの部分が発達していません。そのため、欲求や感情を抑え義務感をもって行動することは犬にとって非常に難しいことなのです。
上下関係を築くために行われてきたしつけ方法では、主に力や体罰によって犬を制圧し、コントロールする方法が用いられてきました。しかし、力や体罰によって言うことを聞いているのは、ただ単に犬が恐怖のあまり委縮し、抵抗できなくなったためです。また、飼い主が意図的に犬を制圧しようと考えていなくても、怒った口調で指示したり、無理やり何かをさせようとすれば犬は飼い主にたいして「恐怖」や「不安」を感じてしまうこともあります。
人をはじめとした動物の脳では、その個体にとって好ましい刺激(好気刺激)を受ければ脳内の報酬系神経回路が働きます。報酬系神経回路が働くと、脳の中ではドーパミンなどといった快楽物質の分泌が促され、意欲が向上し脳を活性化させます。さらに、犬の報酬系神経回路は脳全体の80%以上であることから、犬は褒めることを中心にしつけた方が効果的です。そのため、犬が飼い主の言うことを聞いたときに適切に褒めてあげれば、犬は飼い主に対する期待感が増し、意欲的に言うことを聞いてくれるようになるのです。
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